塩化ストロンチウム89治療

塩化ストロンチウム89治療

有痛性骨転移の疼痛治療における塩化ストロンチウム89治療について

ストロンチウム-89は物理学的半減期50.5日の高エネルギーβ線放出核種であり、骨ミネラル構成成分のCaと同族体であり骨転移病巣の造骨活性を示す部位にコラーゲンのミネラル化に依存して集積し、骨転移病巣を局所的に照射することができる多発性骨転移に有効な疼痛緩和治療用放射性医薬品です。

塩化ストロンチウム(89Sr)の特性

  • 化学名:塩化ストロンチウム(89SrCl)
  • 物理学的半減期:50.5日。
  • 純β線放出核種〔γ線(0.91MeV,0.01%)の放出は無視できる〕
  • 主なβ線のエネルギー:1.49MeVである。
  • β線の組織中の飛程は平均2.4mm(最大8mm)である。
  • 骨転移部位に選択的に照射される。
  • 骨髄での吸収線量は転移部位の1/10である。
  • 体内動態はCaと類似した部分がある。
  • 転移部位での造骨活性によるコラーゲンの合成とミネラル化に依存して集積する。
  • 骨に集積しなかった89Srは速やかに尿中(90%以上)から排泄され、骨以外の組織への集積は1%以下のため他臓器での吸収線量が最小限。
  • 入院の必要はなく外来にて出来る治療です。

適応の条件

本治療を行うには、最低限下記の7項目の基準をすべて満たしていることが必要です。

  1. 組織学的及び細胞学的に固形癌が確認されていること (白血病、多発性骨髄種、悪性リンパ腫などの血液悪性腫瘍は本治療の対象ではありません)
  2. 3ヶ月以内に行われた骨シンチグラフィーで多発性骨転移が認められること
  3. 骨シンチグラフィーの集積部位と疼痛部位が一致すること
  4. 非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)またはオピオイドが投与され従来の鎮痛補助薬では疼痛コントロールが不十分であること
  5. 外部放射線治療の適応が困難であること
  6. 白血球数≧3,000/ mm3、好中球数≧1,500 mm3、血小板数≧75,000/mm3、ヘモグロビン量≧9.0g/dL以上あること
  7. 本薬の臨床的利益が得られる生存期間(望ましくは3ヶ月以上)が期待できること

 

除外基準

  1. 単発の骨転移
  2. 重篤な骨髄抑制がある
  3. 重篤な腎障害がある(NCI共通毒性基準グレード3~4以上の腎不全など)及び急激な腎機能の悪化が認められる
  4. 多発性骨髄腫などの骨破壊病変を主体とする疾患
  5. 播種性血管内凝固症候群(DIC)
  6. 骨折や脊髄圧迫など、骨転移以外の要因による骨性疼痛
  7. 妊娠中(可能性も含む)、授乳中
  8. 急激な血小板減少など血液学的機能が安定しない場合

以下の場合は投与できません

  1. 悪性腫瘍の骨転移に伴う骨折の予防,治療を目的とする場合
  2. 骨転移部位の腫瘍に対する治療を目的とする場合
  3. 脊椎転移に伴う脊髄圧迫を有し、治療に緊急を要する場合で、対麻痺を防ぐ緊急処置を目的とする場合

依頼される先生へ

(予約から注射後の経過観察までの手順)

  1. 治療を希望される先生は「ストロンチウム-89適応候補患者 チェックリスト」(ここをクリック)、患者様同意書(ここをクリック)を印刷して記入し、すべての条件を満たす事を確認のうえ、当院の地域医療連携室にて受診日の予約をしてください。
  2. 依頼された先生には、受診日にまでに「臨床情報提供書」や「治療歴、検査データ」などの書類作成をお願いいたします。
  3. 当院での診察の結果、治療可能と判断した場合は、患者さまと同伴者、保護者の方へ、この治療の説明と注意事項をお伝えし、同意が得られましたら同意書をいただきます。
  4. 治療日時を決めます。
  5. 注射当日は絶飲食などの制限はありません、普段通りにお越しください。
  6. 当院での診察の結果、治療を行わない場合や延期をすることもあります。
  7. 治療後は定期的な経過観察をさせていただきます。

※ )尚、治療前3ヶ月以内の骨シンチグラフィーが必要ですが、当科にてこの核医学検査の予約は可能です。

費用

本治療の塩化ストロンチウム(メタストロン注)のみの費用は、3割負担の場合で約10万円です。

 
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